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先着10名様対象となっておりますので、この機会にお気軽にご相談・お申込みください。

★契約書のリーガルチェックの有無を見抜くポイント

チェック弁護士や行政書士等の専門家が見ているか否かは、契約交渉に当たって知っておきたいものです。

雛型の流用をしている会社や専門化のリーガルチェックのない会社で
あれば、有利に契約交渉を展開できるからです。リーガルチェックの
有無は、下記の用語使用で判断することが出来ます。

「工業所有権」という用語の使用がないか?
現在では産業財産権という用語になっています。こうした用語について、古いものを使って
いると過去の雛型の流用であると見抜かれ、専門の弁護士のチェックを得ていない(弁護士が
リーガルチェックをすれば「工業所有権」という用語の使用を放置するはずがないという意味)
と考えられます。当然のことですが、自社の契約書は「産業財産権」という用語に変更しま
しょう。

同様に、「民事再生」とすべきを未だに「和議」と規定していたり、「後見開始」「保佐開始」を
「禁治産」・「準禁治産」としていたりするのも一見して分かるリーガルチェックの欠如です。

1、タイトル(表題)

・ 特別のチェックポイントはありません。但し、実態とズレたタイトルにはしないで下さい

(例

第●●条で「甲は、乙に対し××システムの開発をするよう注文し、乙はこれを請け負った。」となっているのに、タイトルが業務委託契約書になっている場合など。)

・ 契約書・取り決め事項・覚書・念書・協定書等のどれであっても効力に差はありません。

  ↓

相手方が契約書というタイトルに拒絶反応を起こしているならば、合意書・覚書でも構わないです。

※ 「覚書」には、契約書という堅苦しい感じがなく、相手方に対しても署名を求めやすいと
   言うことから、本来であれば契約書で交わされる事項(土地の賃貸借契約やお金の
   貸し借りである消費貸借契約そのもの)につても、覚書で交わされることがある。

※ 「念書」は、一般的には一方の当事者が相手方に対して差し入れる約束を記した文書
   のことを言う。

「覚書」や「念書」においても、契約書と同様、当事者の特定、記載内容の特定、署名や捺印などが必要となります。

※ タイトルがない場合は?

    ↓

上記のようにタイトルは契約書の重要事項ではないので、タイトルなしでも効力的には問題ありません。但し、どの契約か特定するためにもタイトルを記載するのが通例です。

タイトルを何にすべきか分からない場合は?

    ↓

委託と請負のように迷った場合はどうしたら良いか、又は、相応しいタイトルが分からない場合には、○○システムに関する契約書」等で良いでしょう。意味合いの乏しいタイトルの決定に苦しむ必要はありません。

2、前文

・ 基本的には、当事者・対象(××システム等)・契約の趣旨(共同しての継続的開発等)が明確に記載されていれば足ります。

・ 一歩踏み出したテクニックとしましては、後に自社にとって有利な条項を記載する際の理由を先行的に書いておくという場合があります。

例 第●条 乙は、甲から貸与された物品・図面・データ・フロッピーその他を甲の指定した場所から持ち出してはならず、甲に無断で持ち帰った場合には違約金として金500万円を甲に対し直ちに支払わなければならない。

なぜ、勝手に持ち出しただけで500万円も払わなければならないのかという疑問が湧きます。悪用した後で十分とも思われますし、これだけで違和感の残る条項であり、裁判所に効力を否定されたり適用範囲を限定される危険性があります。

「甲乙は、甲が長年の努力で研究開発した本システムの一層の発展を目指して、業務の提携を行うものであるが、この業務提携の過程で甲の特許申請未了の資料も含めて総べて乙に開示されることから、乙は秘密の保持や情報の管理について極めて高度の注意義務を負うものであり、かかる条件を確認して本契約を締結する。」という前文を置き、その上で条文も下記のように訂正すれば良いでしょう。

例 第●条 乙は、秘密の保持や情報の管理について極めて高度の注意義務を負うものであるから、甲から貸与された物品・図面・データ・フロッピーその他を甲の指定した場所から持ち出してはならず、甲に無断で持ち帰った場合には違約金として金500万円を甲に対し直ちに支払わなければならない。

※ 理由付き条項

自社に有利な措置を規定する場合、「○○だから」という有利にすることを正当化する理由を記載するのは、1つのテクニックです。それを発展させて、その理由記載を不自然でなくするのが、上記の前文を生かすテクニックです。

3、契約条項

基本契約と個別契約

・ 目的や契約の趣旨を書く場合には、上記の前文と同じことです。

・ 個別契約一般に適用される基本契約であることを明示しなければなりません。

・ 適用関係として、個別契約の内容が基本契約よりも優先適用されることを明示しておきましょう。法理論からは、「個別法は一般法を破る」又は「後方は前法を破る」の原則により、記載がなくても後からできた個別契約が優先適用されるのですが、争いの種を取り除くためには契約書にも明記すべきです。もちろん、個別契約と矛盾しない部分では、個々の取引にも基本契約が直接適用されます。

・ 「個別契約の中身が不明確な場合には、基本契約の趣旨に従って解釈する。」という個別契約の解釈の指針となる旨を明記することもあります。

個別契約の締結

・ ここでは、個別契約がどのようにして成立するかを記載します。問題なのは、「個別契約は甲から乙に注文書が発送された場合に成立する」というような条項です。問題点は大きく分けて2点です。

問題点 1 注文書だけで請書の返送がないと、乙としては気が付かなかった場合に債務 不履行となってしまいます。甲としても注文が通っているか確認できません。

そこで、請書の返送を個別契約の要件にすべきです。

問題点 2 注文書自体も具体的な内容の記載がない点では問題です。注文書の内容が個別契約上の債務を決定するのですから、品名・数量・価格・荷姿・引渡時期・引 渡場所・支払時期等を明記して下さい(「納入」の個所で記載しておりますが、ネット関連では特に納入方式の記載は重要です。)。

実際には、所定の注文書・請書を用いるべきです。

※ 一般に会社同士の商品売買でも契約書を作成せず、買主が注文書を作成し、売主が
  注文請書を作成することで、契約書の代用としていると言うのが実情でしょう。
  注文書と注文請書は、契約書のように当事者間の合意が一枚の用紙に記載された
  文書ではありませんが、両者が一体となって当事者間の合意を証明することになる
  のです。

※ 受領書(納品書)
  成立した契約に基づいて、物品の受け渡しや金銭の支払がなされるときは、物品
  受領書や領収書を交付したり、納付書の控えに担当者の印やサインをもらうことに
  なります。 これらは、契約が守られて、物品の受け渡しや金銭の支払がなされたこと
  を証明することになりますから、後から「受け取った、受け取っていない」という争いを
  避けるためにも、しっかりと管理しておく必要があります。

最終合意

・ 契約に先立ってなされた口頭又は文書による取り決めに対して、当該契約が優先し、これが契約時点での最終合意内容になることの確認条項をいれることが増えてきています。

契約前の取り決めは、「後法は前法を破る」の原則により、規定しなくても優先するようにも思えますが、基本契約より限定された分野について取り決めを行っていた場合、「個別法は一般法を破る」の原則が適用される危険性がありますので、上記のように最終合意であることの確認条項が必要なのです。

契約の変更

・ 基本契約書締結後に、何らかの変更を加える場合、その変更形式を限定するべきです。具体的には、「本契約は、甲乙代表者の署名捺印のある文書によってしか変更できない。」等の条項が考えられます。契約締結後に現場レベルで押し切られて現実上変更される事を防ぐための条項です。

納入

・ どのような状態で、どこの場所に納入すべきかを明記すべきです。ネット関連の契約ではCD-ROMにするのかデータのままで良いのか等も明記することになります。

・ 納入された商品の受け入れに人手がいるような場合には、予め納入日を書面で通知することも必要でしょう(倉庫を空けて、安全に配慮するための人員も手配するような納入の場合。)。この場合、何日前までどのような通知をするかも明記した方が良いでしょう。また、通知がなかった場合の納入について、受け入れを拒否できるか否かも明記すべきです。

・ 不可抗力を除いて納入日を遅れた場合の履行遅滞についての責任も記載すべきです。逆に納入する側としては、責任範囲の限定も必要でしょう。

・ 検収については、次の条項についての変更をお考えください。

「甲は、乙からの納入があれば、速やかに検収を開始する。甲から乙への検収合格の通知が乙に届いた時点で検収合格とする。」

乙の立場で変更します。

「甲は、乙から納入を受けた後、3日以内という検収期間にて研修を行う。甲から乙への検収合格の通知が発送された場合、又は検収期間内に乙に対して具体的な不都合箇所を
指摘した通知(FAX、Eメール可)が届かなかった場合には、検収合格とみなす)

※ 更に、「具体的な不都合箇所として指摘を受けなかった部分については、検収期間の
  経過をもって検収合格とみなす。」という改変を行えば、より有利になります。
※ FAXやEメールを可としない方が有利に見えるのに、これらを可とする理由は、3日
  以内という極めて短い期間に限定したことから郵送では初日に不都合箇所を見つけて
  も間に合わない可能性がでてくるなどの不都合が生じ、一方的過ぎるからです。

甲の立場について、「甲は、乙から納入を受けた後、3日以内という検収期間にて検収を行う。甲から乙への検収合格の通知が発送された場合、又は検収期間内に乙に対して具体的な不都合箇所を指摘した通知(FAX、Eメール可)が届かなかった場合には、検収合格とみなす」という案文が送られてきた場合を前提に考えます。

「甲は乙から納入を受けた後、3営業日以内という検収期間にて外観から分かる荷姿・数
量過誤・一見して分かる破損等について検収を行う。甲から乙への検収合格の通知が乙 に届いた場合、又は検収期間内乙に対して検収不合格の連絡がなされなかった場合
には、上記検収内容に関しては検収合格とみなす
※ 検収内容を限定する方向で考えましたが、検収期間を伸ばすことで対応しても結構
  です。
※ 基本契約で検収期間を定めることは構いませんが、個々の対象物やロットによって
  必要な検収期間は変わります。そのため、基本契約書とは別に個別の契約書又は
  覚書を交わして、適宜検収期間の延長を取り決めるなどしてください。

・ 不合格品の取り扱いについても、いつまでに誰(普通は売主)の費用で撤去するのかを記載すべきです。もちろん、不合格品についても一部を手直しすれば使えるものもあって財産価値はあるのですから、撤去期間までは買主が善良な管理者としての注意義務を負って管理すべきでしょう。但し、買主としては、自己のものと同一の注意義務で足りるという条項にすることも考えて下さい。

・ 特別採用についての協議条項も入れておくべきです。

不可抗力

・ 不可抗力免責の条項に不可抗力といえない人為的なものが含まれていないかを検討して下さい。避け得る災害を避けないことは、人為的といわれても仕方がない面があります。

・ 天災地変等も大規模なものに限る方向で契約書をチェックすべきでしょう。

担当者の指定

・ 契約に基づいて継続的な取引を行うわけですが、個々の連絡を取り合ったり、通知の宛先となる担当者を相互に決めておくことも有益です。

・ 具体的な条項としては、「本件取引については、甲の担当者は○○とし、乙の担当者は××とする。」という規定が考えられ、変更する場合には、事前に書面によって通知すべきとしては如何でしょうか。

所有権の移転

・ 基本は、「買主としては早く所有権を得たいが、売主としては所有権を自分のものにしたままで置きたい」というものです。

・ 所有権の移転は、納入時・検収合格時・代金の一部支払時・代金の全部支払い時等のバリエーションが考えられます。

※ 検収とは機械やコンピューターのプログラムなどを納入した際に、実際に稼動するか
  確認するための最終的なチェックのこと。

※ 一般的に、売主の立場からは、所有権移転は遅ければ遅いほど、危険の移転は
  早ければ早いほど、有利と言えます。買主の立場であれば、その逆となります。
  売主としては、最低でも所有権は買主に移転してしまったのに、危険は自分が負担
  するといった事態には陥らないよう注意すべきです。買主も逆の方向のずれが生じて
  いないか確認すべきでしょう。

・ 危険負担と所有権移転をリンクさせている契約書もありますが、両者を別にすることは当然可能です。例えば、危険負担はその製品を事実上保有する(占有する)者が負うのが実際的ですから、検収のための納入時に危険負担を買主側に移転し、所有権の移転は検収合格後の支払時期に代金全額を支払ったときとすること等が考えられます。

※ 上記のように所有権の移転を代金の完済時まで遅らせる場合を所有権留保形式と
  して、債権管理の手段として用いることは構いませんが、これを過信することは妥当
  ではありません。登録制度等のない通常の動産などでは、第三者が善意取得した
  場合には対抗できないからです。流通していく商品などでは所有権留保の効力も弱く
  なるのです。

危険負担

・ 目的物の減失・毀損・盗難・紛失等甲乙双方に責任のない形で起こった場合に、どちらが危険を負担するかという問題ですから、危険負担が移った後も「甲の責めに帰すべき場合を除いて」というような限定は入れておくべきです。

・ 危険負担と所有権の移転が必ずしもリンクしていないことは既述のとおりですが、古くからの原則としては「所有者が危険を負担する」というものがあります。自分のものは自分で管理すべきということです。そこで、早く所有権を取得したい買主としては、納入によって危険負担の移転があるならば、その時期から危険を負担する以上は所有権も移転させて欲しいという交渉をすべきでしょう。無理な場合には、一部金だけでも支払った場合には移転させて貰っても良いでしょう。所有権がない場合には、売主に商品を預けている場合などに返却を求められなくなるなどの不利益もあります。

品質保証

・ 保証の内容をチェックすべきです。「仕様書に合致することを保証する。」というのが売主・請負人サイドにとって有利な条項になります。

・ 買主及び注文主としては、「仕様書に合致し、買主及び顧客の要求を満たす製品であることを保証する」と変更したいところです。仕様書について専門的チェックが入れられない場合には、特に必要な訂正でしょう。

・ 品質保証を徹底するためには、最終目的物が仕様書に従っているだけでなく、製造工程表や材質管理表その他も満たしていることを要求しても良いでしょう。

・ この品質保証の際に、売主・請負人としては使用方法の制限を入れることも考えてください。

例えば、「換気に努めるなどの適正な使用をする限りにおいて」、「当社所定のソフトを用いる場合には」、「当社所定の使用方法を用いる場合には」等が制限事項として考えられます。

・ 第三者の権利を侵害していないことも必ず保証させるべきです。但し、メーカー同士の取引の場合、互いに権利関係の調査を行っていることもあります。そして、権利関係の不透明性を前提に値決めをすることもありますので、権利侵害に関する保証を受けられない場合には、それに見合う措置(減額等)を要求することも考えられます。

仕様

・ 仕様書で定めるとして、基礎となる仕様書について「甲が作成し、乙が承認したもの」より明確にするなら「相互の署名捺印のあるもの」等の記載が必要です。

・ 仕様変更の手続き等も記載しておくべきです。「仕様書の変更は、甲乙の署名捺印による仕様変更書によって行うこととする」等です。

・ その他、「仕様書」というタイトル以外の書類も含む場合には、「仕様書・補助書面・仕様詳細・部品規格等の書類(これらを「仕様書等」という)を遵守しなければならず、」といった記載になります。

支給品

・ 有償支給か無償支給かは明記すべきですし、有給支給の場合には支給方法や時期も明記すべきです。

・ 支給品には、大きく分けて原料・中間品等を支給して最終的に仕上げてもらう場合と、製造のマニュアルや図面・データ等を支給する場合とがあります。この内、前者については、支給品を買うことを強要されないようにすること及びその支給品に関して通常の売買と同様に納品・値段・危険負担・検収その他の条項を置くことが大切です。また、支給品自体を転売したり担保に供することも規制すべきでしょう。後者については、内容の保証などが問題となりますし、本件業務以外の目的での使用(例えば、マニュアル自体を第三者に販売する。)を禁止すべきです。

・ 支給品であっても、一定の用途に限定して支給する場合が多いと思いますので、目的外使用を禁止することもお考え下さい。

貸与品

・ 本当に重要なマニュアルその他のデータは支給してしまうと返却を求められないので、貸与品とすべきでしょう。

・ 貸与品については、貸与の期間・使用方法・管理義務・有償又は無償等の事項について契約書で明記すべきです。貸与である以上、基本的には賃貸借契約書で規定する内容を記載すべきなのです。

・ 貸与品の無断使用や第三者による侵害(債権者が持ち帰る行為など)を防ぐために、貸与品である旨を明確に表示させることも考えられます(これは所有権留保でも同じ)。実務的には、はがれにくいシールの添付等が考えられます。

・ 貸与されたマニュアルやデータについて、どの範囲までの人物に開示して良いか、複製物を作成して良いか等も規定すべきです。複製物を作る場合には、書面による事前の同意を要求すべきでしょう。 

・ 喪失又は破損した場合等の措置も記載すべきでしょう。ペナルティーを規定すべきかも検討して下さい。

・ 貸与物については、契約終了後の取り扱いも明記すべきです。例えば、「契約の終了又は解除の理由の如何を問わず、乙は、甲からの貸与品一切を乙の費用負担にて全て返却しなければならず、複製物等があれば併せて返却しなければならない。乙は、返却終了に当り、甲に対して複製物を含めて甲からの貸与物一切を返還したことを約束する文書を甲に提出しなければならない。」等が考えられます。

・ 貸与品の中で大型の金型・デザイン変更をかける前の貴金属など重要かつ高価なものも考えられます。こうしたものについては、保険を付すことが必要な場合もありますので、どちらの負担でどのような保険を付すかも契約内容に織り込むべきです。

※ 保険を付したことの確認はどのようにすべきか?

   ↓

保険証のコピーの提出と、保険料の支払が滞っておらず保険契約が有効に継続している旨の定期的な報告(保険料の支払確認のできる資料を添付した報告書の提出)を要求しては如何でしょうか?

価格

・ 見積書の提出を前提とする場合には、それを明記して提出日等も明示すべきです。

・ 価格変更の場合や追加工事等の場合にも見積書の提出と承諾を要件としておくべきです。

 例えば、「追加工事による追加代金の提出は、予め乙から甲に見積書を提出した上でその金額について甲からの書面による承諾を事前に得ていた場合に限られる。」等の記載です。

・ 消費税の総額表示の問題は、企業間の取引には基本的に影響しません。そのため、現在でも消費税の取扱の明記は必要です。

・ 価格の内容も明確に規定すべきです。梱包費・運送代・保険料が含まれるか否か等です。

※ 価格は、契約をする上で最も重要な事項ですから、金額に付いては後日協議するなど
  の曖昧な処理よりも契約書への金額表示が望ましいですし、如何なる場合にどのよう
  な方法で価格変更するのかも明記しておくべきです。

支払方法

・ 何時締めの何時払いかを明記することは当然です。

・ 支払日が土日になった場合の処置も記載すべきです。

・ 現金払いなのか手形も構わないのかも明記すべきであり、手形を許容するならば支払サイトの限定も忘れないで下さい(下請法が適用される場合には、繊維関係では90日・それ以外の分野では120日までのサイトでなければなりません。)。また、「半額は必ず現金で」等の規定も有効です。

・ 銀行振込を用いる場合には、振込手数料をいずれが負担するのかも明記する必要があります。代引手数料等も同様です。

・ 海外取引では、どの通貨で支払うかも明記しなければなりません。

相殺予約

・ 相殺は、最も簡易かつ安価で確実な担保方法です(抵当権と比べれば、登記費用が要らない点で安価であり、地価の下落や競売落札価格を考えなくて良い点で確実であり、何よりも意思表示だけで足りる点で簡易なのです)。

・ そこで、「甲は乙に対して本契約に関する何らかの債権を有する場合には、いつでも甲に対する売買代金債務と相殺することができる」というような条項を入れておくべきでしょう。
「本契約に関する何らかの債務を有する場合」という部分を「本契約に限定されず何らかの債権を有する場合」とすれば、より使いやすい条項になります。

※ (仮)差押の代わりに相殺を利用する回収方法は?

   ↓

債務者に取引先を調べて取引先からの回収金債権を差し押さえる代わりに、債務者に支払予定の取引先に対して自社の債務者に対する債権を若干減額して売却し、購入した取引先が債務者に対して相殺を主張できるようにするという回収方法があります。この場合、自社は、債務者の取引先に債権を売却して債権譲渡通知を債務者に送るだけの費用と手間で短期間に回収できるというメリットがあります。債務者の取引先と交渉できる関係であれば、使える手段です。

遅延損害金

・ 遅延損害金や違約金については、特記事項ではありませんが、遅延損害金規定の使い方を述べますと、回収の際に損害金分が増えるという本来の使い方以外に、支払を渋る相手との交渉において、遅延損害金を放棄する代わりに元金だけでも支払うよう求めるという交渉材料としての利用法があります。

瑕疵担保責任

・ まず、商法上の瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵についても6ヶ月以内に主張しなければなりません。そのため、特別の規定を置かなければ、商法が適用されて瑕疵担保の保証期間は僅か6ヶ月になってしまうのです。買主としては、保証期間を延長する(例えば1年)ことが必要です。

・ 但し、瑕疵担保責任の内容を売主(請負人)側が限定したい場合もあります。そのような場合には、瑕疵担保期間を1年に延長する代わりに、損害賠償等ではなく、代品提供や補修に限っても良いでしょう。

・ 上記の内容をさらに売主(請負人)側に有利にする場合、買主(発注者)からは損害賠償等ではなく代品提供や補修に限り、売主(請負人)側からはいずれでも選択できると規定する方法があります。

知的財産権

・ 知的財産権関係の条項は、大きく分けて次のように分類できます。
@他社の知的財産権を侵害していないことの保証条項
A知的財産権の帰属条項
B改良技術等の申請条項
の3種類に分けられます。

・ @の他社の知的財産権を侵害していないことの保証条項から考えますと、例文としては次のようなものになります。

「甲は、乙に対して納入した本件商品が第三者の知的財産権を侵害していないことを保証する。」

  ↓(やや加筆して次のように変更してみました)

「甲は、乙に対して納入した本件商品が第三者の知的財産権を侵害していないことを保証する。そのため、第三者との間で争いとなった場合には、甲が全責任を持って解決するものとし、万一、乙が第三者に賠償金等を支払った場合には、直ちに全額の求償に応じる。

  ↓(逆に、甲の側からの付け加えとしては下記の訂正となります)

「甲は、乙に対して納入した本件商品が第三者の知的財産権を侵害していないことを保証する。そのため、第三者との間で争いとなった場合には、甲が全責任を持って解決するものとし、万一、乙が第三者に賠償金を支払った場合には、賠償金としての相当性を有していた範囲内の金額については直ちに求償に応じる。但し、権利侵害が乙の指示や乙側の提供物による場合には、本状の責任を甲が負担することはない。

・ 次に、Aの知的財産の帰属条項について検討します。ここは大きく分けて、買主側に所有権や知的財産権を与えるのか、通常実施権を与えるだけなのかを考えるところから始めます。システム開発契約を例にして具体的な条項を検討してみます。

・ 所有権を与える場合には、「本件システムの所有権及び知的財産権は、乙から甲への代金完済と同時に、甲から乙に移転する。」

  ↓(これでは、似た技術を甲が使えませんので、次のように改訂します)

・ 「本件システムの所有権及び知的財産権は、乙から甲への代金完済と同時に、甲から乙に移転する。但し、基本モジュール部分や汎用性のある技術については、代金完済後も甲に帰属するものとし、乙は無償で通常の実施権を得るものとする。」ここでは、開発者側が、再利用したい技術を確保しておくことが必要です。

・ 通常実施権を与える場合(若干のカスタマイズはあるものとしても既に完成しているシステムを売却する場合等が、このケースに属します)には、「甲は、代金の完済により、乙に対して本システムの通常の実施権を付与する。但し、乙は、本契約の趣旨に従って使用しなければならず、リバースエンジニアリング等をしてはならない。」等の規定になります。

・ また、Bの改良技術等の申請条項に付きましては、「本契約を通じて、相手方から提供された物品・データ・仕様書・ノウハウ等により、新たに特許権・実用新案権・意匠権・著作権等の産業財産権を申請する場合には、甲乙協議の上で行う。」等の規定を設けても良いでしょう。権利を共有する場合には、持分が対等であることも明記してください(この場合でも、誰が申請を担当するかは規定しておくべきです)。

監査

・ 知的財産関係でライセンス等をする場合を含めてロイヤリティ収入を得ようとする場合などには、相手方の販売した商品の量や金額を成果うに把握する必要があります。そのため、「甲は、販売した量及び価格等について、いつでも公認会計士等による監査を求めることができ、乙はこれに協力して必要な書類等を提出しなければならない。」といった規定をおくことが考えられます。

・ なお、監査を簡易にする方法としては、商品を販売する際に、特殊なシールの添付を必須とし、当該シールをロイヤリティ価格で販売するという方法もあります。

権利義務の譲渡禁止

・ これは、契約当事者を固定するために「甲乙は、相手方からの書面による承諾を得た場合でなければ、本契約上の権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡することはできない。」等の条項を置くことになります。

・ 譲渡に加えて、担保提供することも禁止しておくべきです。

機密保持

・ これだけで、機密保持契約としての単独の契約書にすることもありますが、契約条項の一部とする形式で例を挙げて変更を加えてみました。なお、個人情報保護の視点から、個人情報の取り扱いについては詳細な規定をおくことになると思います。この場合、基本契約の中に組み入れても構いませんし、現在締結済みの契約等に加えて、別途覚書を結ぶという方法でも構いません。ポイントは、個人情報保護法は、民間事業者への義務規定も平成17年4月から適用された訳ですから、現在の契約のまま放置するのではなく、必ず保護のための対策を行うということです。

「甲乙は、本契約遂行の過程で知り得た相手方の秘密を妄りに第三者に漏洩してはならない。」

  ↓(秘密を具体化しました)

「甲乙は、本契約上の過程で知り得た相手方の技術上・経営上・財務上・人事上・の各秘 密を妄りに第三者に漏洩してはならない。」

  ↓(効力を残存させました)

「甲乙は、本契約期間中及び契約終了後も10年間、本契約遂行の過程で知り得た相手方の技術上・経営上・財務上・人事上の各秘密を妄りに第三者に漏洩してはならない。」

  ↓(より詳しい形式に大きく変更しました。2つの条文に分けました。)

「第●条
本契約において「機密情報」とは、開示者が被開示者に対して開示する次の各号に定める情報をいう。

1、機密である旨が表示された文書、図面、技術資料、または磁気的若しくは光学的に記録 された営業上、技術上の資料、その他関連資料等、有効物により開示されるもの

2、機密である旨を告知された上で口頭開示される情報であって、かかる口頭の開示後、30 日以内に当該情報の内容および開示の日時が書面により被開示者に提示されたもの

第×条
@被開示者は、機密保持の機密を厳格に保持し、被開示者の役員及び従業員のうち本目的を履行するために機密情報を知る必要のある者(以下「被開示従業員」という)以外には、いかなる第三者にも一切開示又は漏洩してはならない。但し、次の各号の一に該当することを被開示者が立証した情報についてはこの限りではない。

1、開示者から開示を受けた後に、被開示者の責に帰すことができない事由により公知とな った情報

2、開示者から開示を受ける前に、被開示者が知得していた情報

3、開示者から開示を受ける前に、公知となっていた情報

4、被開示者が開示者から開示を受けた情報によらず独自に開発した情報

5、被開示者が第三者から機密保持義務を負うことなく正当に入手した情報

6、法令、または裁判所の命令により開示することが義務付けられた情報

A前項の規定に関わらず、被開示者は、事前に書面による開示者の承諾を得た場合は、機密情報を第三者に開示することができる。

B被開示者は、被開示従業員(機密情報を知得した後に退職した者及び前項の規定に基づき機密情報を開示した第三者を含む。以下同じ。)に対し、本契約に定める機密保持義務と同等の義務を負わせるものとし、被開示従業員が本契約の各条項の一に違反した場合には、当該被開示従業員と連帯してその責を負うものとする。

類似品取扱の禁止

・ 機密保持と同様の趣旨で、自社のノウハウや機密情報を悪用されないように類似品の取扱を禁止することが考えられます。

・ 禁止の対象となる類似品の範囲をできるだけ明確に規定するようにすべきです。

・ また、禁止行為として、当該会社での開発・製造・販売だけでなく、第三者に開発・製造・販売させること等も広く禁止すべきです。

・ 禁止期間も契約期間中だけでなく契約終了後1年ないし2年程度にすべきでしょう。

再委託

・ 当事者としては、相手方を確認して委託等をしているのですら、勝手に再委託されては困ります。

 「乙は、本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することはできない。」又は「乙は、本件業務の全部又は一部を第三者に再委託する場合には、予め甲の書面による承諾を得なければならない。」等の規定を置くべきでしょう。

・ 再委託の行為についての損害賠償責任は、再委託について承諾していたか否かを問わず、乙が再委託者と連帯して責任を負うというのが甲にとって望ましいでしょう。

任意解除

・ 「甲及び乙は、相手方に対し、●ヶ月の予告期間をおいて書面で通知することにより本契約をいつでも解除することができる。」等の条項が考えられます。

・ 予告期間をどの程度にするか、残存債務を完済してからでなければ解除できないようにすべきか等を検討してください。

契約の解除(一方的な解除)

・ 具体例から考えますと、次のようになります。

  ↓

「1)甲又は乙は、相手方に次の各号に掲げる事由の一が生じたときにはなんらかの催告なしに直ちに本契約を解除することができます。解除によって損害賠償の請求は妨げられません。

@差押、競売、破産、民事再生開始、会社更生手続開始、会社整理開始、特別清算開始
の申立てがあったとき
A手形交換所の取引停止処分を受けたとき
B公租公課の滞納処分を受けたとき
C第●条・第×条の規定に違反したとき(重要条項をピックアップします)

2)甲又は乙は、相手方の債務不履行が相当期間を定めてした催告後も是正されていない時は本契約を解除できます。解除によって損害賠償の請求は妨げられません。」

  ↓

ここでは、甲乙の対等条項になっていますが、一方的に甲又は乙のいずれか一方だけが解除権を持つこともあります。

期限の利益の喪失

・ 前述の解除に併せて、記載しても構いませんし、これに続く条項にして「甲または乙は、前条により契約を解除された場合には、相手方に対する一切の債務について期限の利益を喪失し、直ちに全額を支払わなければならない。」等の規定をすることになります。

・ 損害賠償については、賠償制限を置くことも重要ですので検討して下さい。

連帯保証人

・ 「丙は、買主である乙と連帯して本契約に基づく乙の甲に対する債務一切を乙と連帯して保証する」ような条項です。

・ 連帯保証人に経済的な保証能力がなくなった場合や死亡した場合には、甲から連帯保証人の追加又は変更が要求できるようにすべきでしょう。

契約終了時の措置

・ 例文としては「本契約の終了原因の如何を問わず、乙は甲からの貸与物品全てを直ちに甲に返還しなければならない。」

  ↓(これを強化します)

「本契約の終了原因の如何を問わず、乙は甲からの貸与物品全てを複製物を含めて直ちに甲に返還しなければならない。」

・ 残預金や製造途上の商品についての措置も規定しておくべきでしょう。

残存条項

・ 秘密保持義務や賠償義務に加えて保証条項等をピックアップして、「甲乙は、本契約終了後も第●条の義務を負う」等の規定を設けます。

・ 条項によって、残存年数を変えることもできますし、残存条項として一括するのではなく、個々の条項に契約終了後の有効特約を入れても構いません。

有効期間

・ 契約の有効期間については、「本契約締結の日から●年間」というように記載するか「平成17年8月28日〜平成19年8月28日まで」というように記載するか、どちらでも構いません。

・ 「契約終了の●ヶ月前までに文書による更新拒絶の申し出が無ければ、なお1年間同一の条件で継続し、以後も同様する」というような自動更新条項は便利ですが、「●ヶ月前」という部分には、その時点で更新を拒絶されても準備ができるだけの期間を置くべきですし、自動更新は柔軟な対応の余地を残すために1年程度のサイクルが一般論としてはベターです。

協議解決

・ 「本契約又は関連する個別契約等に関して疑義が生じた場合又は本契約や関連する個別契約等に規定さていない事項が生じた場合には、甲乙は、誠意を持って協議し解決に努める。」というような条項です。これ自体に重要性は乏しいです。和解交渉の切っ掛け程度に使うものと考えてください。

合意管轄・適用法令

・ 合意管轄については、「本契約又は関連する個別契約等に関する一切の紛争についての第一審の専属的管轄裁判所を大阪地方裁判所にする。」又は「本契約又は関連する個別契約等に関する一切の紛争についての第一審の専属的管轄裁判所を甲の本店所在地を管轄する地方裁判所にする。」等の規定となります。

・ 乙の立場では、大阪が遠くないのであれば、甲の本店が変わる危険もありますので、大阪地方裁判所と明記した契約にすべきでしょう。

・ 適用法令は、国際契約では必須ですし、国際契約に広がる可能性がある場合にも必ず規定して下さい。

4、後文

・ 当事者を確認し、契約書を何通作成し、誰が何通を所有するのかを定めるものです。

5、契約締結日

・ これは必ず入れてください。

・ 日付が分からないと、契約した際に代表として署名捺印したものが代表権を持っているのか・いつの法律が適用されるのか・契約日から一年とされている契約の有効期間は未だ到来していないのか等について疑問が生じてしまいます。

※ 記載される日付は実際の契約書作成日です。
  その日に当該契約についての当事者の合意が本契約書で交わされたことを証明する
  ためにあるからです。

6、当事者記名捺印等

・ ここは注意点は少ないのですが、自署させる場合には持ち帰らせずに、必ず面前で行なわせるべきです。

・ また、連帯保証人については、「連帯保証人」という欄を設けて、単なる立会人である等の言い訳を防ぐべきです。

※ 法律上は、署名があれば、押印の必要はありませんが、日本では、昔から印鑑が重視
  されていることから、一般的には署名をした場合でも押印しています。
  押印に使う印章は、実印でなければならないということはありませんが、銀行から融資
  を受ける際など、本人であることの確認手段として実印でなければならないこともあり
  ます。実印が押印されたというだけで安心するのではなく、可能な限り署名を求める
  ことをお勧めします。署名であれば、本人が書いた筆跡が鑑定で証明されることから、
  裁判において重要な証拠となります。
※ 記名押印とは、会社名・個人名の印の入ったゴム印を押しそこへ印章(社印など)を
  押すこと。民法や商法では、署名に変えて記名をして押印することが一般的に認めら
  れているので、契約書その他でもこの方法を用いるものが多いのです。
※ 実印:あらかじめ市区町村長に届出をしておく印鑑で、印鑑証明証を取得できる。
  法人代表印は、法務局に届出が必要となる。
  認印:実印と異なり届出をしていない普段使われている印鑑。

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